ドーリー(ボートを運ぶための車輪)を付けたまま、砂浜の小さな階段を引き上げていたら、トランサムの取り付け部分が壊れました。2021年10月のことです。
この記事は、そのときの修理の記録です。直してから約5年たちましたが、今も問題なく使えています。同じ失敗をした方と、これからドーリーを使う方の参考になればと思います。
何が起きたか
私のボートは、ジョイクラフトのオレンジペコ323ワイドです。トランサム(船尾の板)に、ドーリーを取り付けるためのステンレスの金具が、左右に1本ずつ付いています。
その日は釣りを終えて、荷物を載せたままのボートを、ドーリーで引いて戻るところでした。途中に、数段の小さな階段があります。ドーリーは頑丈だから大丈夫だろうと思って、そのままガタガタと引き上げました。
階段の途中で、グニャッという、嫌な感触が手に伝わってきました。すぐに止まって確認すると、大変なことになっていました。
階段から車までは、目と鼻の先でした。それでも、荷物をすべて降ろして、ドーリーも外して、ボートも荷物も、すべて手で運びました。撤収作業のあいだ、頭は真っ白で、気分はすっかりブルーでした。下の写真は、帰宅してから撮ったものです。

- 金具をトランサムに留めていたネジが、抜けていました
- ステンレスの金具そのものも、弓なりに曲がっていました
金具は、もともとタッピングねじ(板に直接ねじ込むタイプのネジ)で留めてありました。ネジは、板に食い込んでいるだけです。荷物を載せた重さが、階段の段差で一気にかかると、耐えられなかったようです。


使い始めて10カ月ほど。少し慣れてきて、扱いが雑になっていた頃でした。
直し方を調べた
同じ失敗をした方のブログ記事が、いくつか見つかりました。どの方も、方法はほぼ同じでした。
- ネジをねじ込み直すのではなく、トランサムに穴を貫通させる
- ステンレスのボルトを通して、内側からナットで締める
- 穴の周りは、シーリング材で防水する
ネジ穴は、一度抜けると広がってしまいます。同じ場所にねじ込み直しても、効きません。板を両側から挟み込む貫通ボルトなら、力を面で受けられます。

参考にした記事の中に、ひとつ気になる失敗談がありました。ボルトが長すぎて、内側に飛び出したナットが、エアフロアに食い込んでしまった、という話です。ボルトの長さは、きちんと測って決めることにしました。
参考にさせていただいた記事は、次の2つです。
使った部品と費用
すべてステンレス製で、近所のホームセンターで揃えました。
| 部品 | サイズ | 数 |
|---|---|---|
| 六角穴付きボルト | M8×35mm | 4本(金具1本につき2本) |
| 袋ナット | M8 | 4個 |
| 丸座金(ワッシャー) | M8用、外径22mm | 内側と外側に使用 |
| シーリング材 | シリコン系 | 少量 |
費用は、合計で1,000円前後でした。
金具を丸ごと交換する方法もあります。メーカーの補修部品は、送料込みで7,000円ほどでした(調べた当時)。私の場合は、金具を平らに戻せたので、そのまま使っています。
ボルトの長さの決め方
ボルトが短すぎると、ナットがかかりません。長すぎると、内側に飛び出して、エアフロアを傷つけます。買いに行く前に、トランサムの厚みを測っておきます。
必要な長さは、次のものを足した長さです。
- トランサムの厚み
- 金具の厚み
- 座金の厚み(内側と外側)
- ナットにかかる分
私のボートでは、M8×35mmのボルトでちょうどよく、ボルトの先は袋ナットの中に収まりました。ただし、トランサムの厚みは、ボートの機種によって違います。必ず、ご自身のボートで測って決めてください。
内側は、普通のナットではなく、袋ナットにしました。袋ナットは、先が丸くふさがっているナットです。ボルトの先がナットの中に隠れるので、とがった部分が、エアフロアやチューブに当たりません。
作業の手順
- 金具を外す。残っているネジも、すべて抜きます
- 曲がった金具を、平らに戻す。ハンマーでたたいたり、万力に固定してプライヤーで曲げたりしながら、少しずつ戻しました。ステンレスは硬いので、一度では戻りません。平らな面に置いて、浮きを確かめながら進めます
- トランサムに、貫通穴を開ける。抜けたネジ穴は使わずに、新しい位置に開けました。金具を当てて位置を合わせ、手持ちのインパクトドライバーに木工用のドリル刃を付けて、M8のボルトが通る太さの穴を開けます。板に対して、まっすぐ開けるのがポイントです
- 穴の周りに、シーリング材を塗る。トランサムの中身は木の板なので、穴から水が入ると、傷みの原因になります
- 外側から、ボルトを通す。金具、座金の順に重ねます
- 内側から、座金と袋ナットで締める
- はみ出したシーリング材を拭き取って、乾かす


作業そのものは、位置合わせから完了まで、小一時間ほどでした。特別な工具も要りません。私の場合は、壊してから直し終わるまで、1週間でした。ほとんどは、直し方を調べる時間と、部品を買いに行く時間です。
穴を開けるときは、内側にある部品の位置を、先に確認してください。私のボートでは、トランサムの内側に、エアフロアを押さえる樹脂のパーツが付いていました。貫通させたい位置と、ちょうど重なっていたので、これは外してから作業しました。

外したあとは、ボルトやナットが、内側の部品に当たらない位置かどうかを、もう一度見ておきます。
5年後の状態
修理したのは、2021年10月です。それから約5年たちました。


- ボルトのゆるみ、ガタつきは、ありません
- 穴の周りからの水の侵入も、今のところ見られません
- 袋ナットの内側への出っ張りは、約15mmです。エアフロアを膨らませても、当たっていません
標準のネジ留めよりも、明らかに頑丈になりました。はじめからこうなっていればいいのに、と思うくらいです。
ただし、トランサムに穴を開ける加工は、メーカーが想定している使い方ではありません。保証の対象から外れる可能性があります。同じ修理をする場合は、自己責任でお願いします。不安な方は、購入した販売店か、メーカーに相談するのが確実です。
そもそも、壊さないために
修理はできましたが、一番いいのは、壊さないことです。
- 段差では、引きずらない。荷物を降ろして、ボートを持ち上げて越えます。2人いれば、前後を持って運べます
- ドーリーは丈夫でも、力がかかるのは、取り付け先のトランサムです。ドーリーの頑丈さを、過信しないほうがいいと思います
- 出航場所の下見では、砂浜までの道の段差も見ておく。詳しくは、「2馬力ゴムボートの出航場所の探し方と、「今日は出ない」の決め方。22回の出航と、2回の中止から」に書きました
- 帰宅後の洗船のときに、金具のネジのゆるみを見る。抜ける前に、ゆるみの段階で気づけたかもしれません
まとめ
- 荷物を載せたまま、ドーリーで階段を引き上げて、トランサムの金具のネジが抜けました
- 曲がった金具を直して、M8のステンレスの貫通ボルトと袋ナットで留め直しました。費用は、1,000円前後です
- ボルトの長さは、トランサムの厚みを測って決めます。内側を袋ナットにすると、エアフロアを傷つけません
- 修理から約5年、問題なく使えています
- 段差では、引きずらずに、持ち上げる。これが一番の対策です
装備の全体像と金額は、「2馬力ゴムボート一式を揃えたら総額いくら?実際に買った装備と、22回出航して分かったこと」にまとめています。
このボートで、実際にどれくらい魚が釣れたのかは、「2馬力ゴムボートで、魚は釣れるのか。22回出航した全記録と、正直な答え」にまとめています。
船首側のドーリーをイレクターパイプで自作した話は、「ゴムボートのバウドーリーを、イレクターで自作した。1台目は失敗、2台目のあとにたどり着いた答え」にまとめています。


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