キャンプで電気をどうするか。
私は3年かけて、3回やり方を変えました。最後は12万円のポータブル電源に落ち着きましたが、最初から買ったわけではありません。 安いところから順に試して、そのたびに壁にぶつかっています。
途中でバッテリーの端子を溶かしました。

この記事は、その記録です。同じように「バッテリーとインバーターで安く済ませよう」と考えている方に、私がどこでつまずいたかをお伝えします。
1. 最初はポータブル電源の小さいもの

容量は500Whほどの小さなものでした。
これは容量が足りませんでした。 加えて、使っているうちに充電の挙動がおかしくなってきたので、だましだましの状態に。いまはほぼ使っていません。
2. バッテリー+インバーターに移った
次に考えたのが、バッテリーを自分で用意して、インバーターで100Vに変えるという方法です。
買ったのは12V 100Ah、1,280Whのリン酸鉄リチウムイオンバッテリー。1台48,980円。これを2台買いました。合わせて2,560Whで、約98,000円です。
インバーターは500Wの正弦波タイプ。7,722円でした。

2台を交互に使っていました。 1台を使い切ったら交換して、使い終わったほうを充電する。この回し方なら、長期のテント泊でも電気が切れません。
実際、この構成はよく働いてくれました。
3. 炊飯器を動かしていたら、端子が溶けた
当時、ダッチオーブンで水蒸気炊飯をする前の短い期間、電気弁当箱炊飯器でご飯を炊いていたことがあります。1合炊きの小さなものです。
キャンプ場で、あえてバッテリーとインバーターでそれを動かしていました。電気の力でご飯が炊ける。その感じが楽しかったというだけの理由です。
そして、ある日。

プラス側の端子が溶けていました。 赤いゴムカバーが完全に変形して、内側が黒く焦げています。白い本体も熱で歪んでいました。

マイナス側は、まったく何ともありませんでした。 同じ配線、同じ使い方なのに、プラス側だけがこうなった。
そして2台のうち、溶けたのは1台だけです。しかも、それまで何度も同じことをやって、溶けたのはこの1回だけでした。
なぜ溶けたのか
あとから考えて、原因はここだと思っています。

ワニ口クリップです。
インバーターに付属していたケーブルをそのまま使っていました。先端がワニ口クリップになっていて、それでバッテリーのボルトを挟む。説明書のとおりの、ごく普通の使い方です。
問題は、ここに流れていた電流でした。
100V側は3A。でも12V側は30A
炊飯器の消費電力は300Wです。
100V側で考えると、300W ÷ 100V = 3A。インバーターは500W対応ですから、まったく余裕があります。数字を見るかぎり、何の問題もありません。
ところが、バッテリーとインバーターをつなぐ12V側は違います。
300W ÷ 12V = 25A。インバーターの変換効率を考えると、実際には30A近くが流れます。
溶けたのは、まさにこの12V側の端子でした。
ケーブルは足りていた。足りなかったのは接点

使っていたケーブルには H03VV-F 1X4.0mm² と印字されていました。4.0sqです。
30Aを通すには余裕があるとは言えませんが、明らかに細いわけでもありません。実際、ケーブルはどこも溶けていません。
溶けたのは、その先の接点だけでした。
ワニ口クリップがボルトに触れているのは、ごく狭い一点です。しかもバネの力で挟んでいるだけ。4.0sqの銅線の断面と比べたら、接触している面積ははるかに小さい。
そこに30Aが流れ続ければ、接触抵抗のぶんだけ熱が出ます。電線がいくら太くても、その先が細ければ、細いところが焼ける。
「いつもは大丈夫」がいちばん怖い
もうひとつ、あとで気づいたことがあります。
ワニ口クリップは、挟む位置も角度も毎回違います。 たいていはうまく噛んでいて、何も起きません。でも、あるとき当たりが悪いと、そこだけ一気に発熱する。
私の場合、何度も同じことをやって、溶けたのは1回だけでした。つまりそれまでは、たまたま運が良かっただけです。
「これまで平気だったから大丈夫」が通用しない。ここがいちばん怖いところだと思います。
それで、どうしたか
ご飯は、ダッチオーブンで炊くことにしました。
バッテリーで炊飯するのをやめて、水蒸気炊飯に切り替えたのです。電気を使わないので、端子が溶ける心配もありません。
やり方はこちらに書きました12年前に買ったダッチオーブンが、いまは炊飯器の代わりです。水蒸気炊飯のやり方
そして電源そのものも、3台目のバッテリーを買うのをやめました。
買い足せば3,840Whになりますが、金額は約147,000円です。そこまで出すなら、と考え直しました。
4. ポータブル電源にした

2025年7月、EcoFlow DELTA 2 Maxを買いました。220Wのソーラーパネルとの2点セットで、125,488円です。
3台目のバッテリーを買う金額で、ポータブル電源が買えてしまう。 これが決め手でした。
EcoFlow DELTA 2 Max ポータブル電源 2,048Wh(EFDELTA2Max-JP)
なお、現在は後継のDELTA 3 Maxが出ています。容量は同じ2,048Whです。これから買うなら、こちらも比べてみてください。私はDELTA 3 Maxは使っていないので、使用感は書けません。
EcoFlow DELTA 3 Max ポータブル電源 2,048Wh(EcoFlow公式店)

何が変わったかというと、端子がなくなりました。
ワニ口クリップも、むき出しのボルトも、自分でつなぐケーブルもありません。コンセントに挿すだけです。発熱するような接点を、自分で作らなくてよくなりました。

いまの使い方:車載冷蔵庫を「製氷機」にする
ポータブル電源の使い道で、いちばん効いているのが保冷です。
長期のテント泊で困るのは、電気より食材が持たないことでした。それをこうやって解決しています。

使っているのは18Lの車載冷蔵冷凍庫(19,980円)。-20℃まで下がるタイプです。
ここが肝で、この冷蔵庫は食材を入れる箱ではなく、保冷剤を凍らせる装置として使っています。
| やること | 中身 |
|---|---|
| 1 | 車載冷蔵庫に保冷剤を入れて凍らせる |
| 2 | 冷蔵庫の電源はポータブル電源 |
| 3 | クーラーボックス60Lに食材を入れ、凍った保冷剤を入れる |
| 4 | 保冷剤の様子を見ながら、冷蔵庫の中のものと入れ替える |
クーラーボックスは、アイリスオーヤマの真空断熱60Lです。空の状態で13.3kgあるので、正直かなり重いのですが、保冷力は文句なしでした。
保冷剤はロゴスの倍速凍結・氷点下パックXLを、6個ほどで回しています。
つまり、冷蔵庫で凍らせて、クーラーボックスへ。ぬるくなったら戻して、また凍らせる。 この循環が回っているかぎり、食材は冷え続けます。
18Lという小ささは、食材を全部入れるには足りません。でも保冷剤を回すためなら、これで十分です。
なお、保冷剤とクーラーバッグの組み合わせについては、別の記事に書きました。「25Lと書いてあるのに、2Lのペットボトルが6本しか入らない」という話です。25Lのクーラーバッグに、2Lのペットボトルは6本。カタログの容量は「入る量」ではありません
充電は、走っている間に
ポータブル電源は、出かけるときに車に積んで、走りながら充電しています。
うちの車は90系のヴォクシー(ハイブリッド)で、車内に100Vのコンセントがあります。そこに挿すだけ。1時間ちょっとで満充電になります。
走行中は、1.4kWくらいで入っていきます。 これはかなり速いです。
しかもこのとき、車載冷蔵庫は動かしたままです。冷蔵庫の消費は50Wほど。差し引きしても充電のほうが圧倒的に勝つので、冷やしながら、どんどん貯まっていくという状態になります。
走行充電のための専用システムを組んだりはしていません。車についているコンセントで足りています。
※コンセントの有無は車種やグレードによって違います。ご自身の車をご確認ください。
結論:4泊5日、余裕で持ちました
長期のテント泊で、実際にどれくらい持つのか。
4泊5日、余裕でした。
このとき動かしていたのは、こういうものです。
- ミニ炊飯器
- 扇風機
- 車載冷蔵庫(つけっぱなし)
- LEDランタン
- スマートフォンの充電
- 水冷マット
- ドライヤー
キャンプでドライヤーが使える、というのは我ながら少し驚きました。
いちばん分かりやすい数字を書きます。夕飯で炊飯器を使い、ドライヤーを使い、各種の充電をして、そのうえ冷蔵庫を朝までつけっぱなしにして、翌朝の残量が50〜60%。
一晩使って、ようやく半分です。そして日中に走れば満タンに戻る。これなら何泊でも同じことです。
ただし、ポータブル電源1台だけで乗り切ったわけではありません。 正直に書くと、このときの構成はこうです。
- EcoFlow DELTA 2 Max(2,048Wh)
- 走行中の充電(ヴォクシーの100Vコンセント)
- バッテリー+インバーター(予備として持参)
- 前に使っていた小さいポータブル電源(予備として持参)
ただ、正直に書くと——予備は2つとも、一度も使いませんでした。
端子を溶かしたバッテリーも、前に使っていた小さいポータブル電源も、積んでいっただけです。ただ重かっただけ。 次に行くときは減らします。
「念のため」で持っていったものは、だいたい使いません。使わなかった、という結果も書いておく価値があると思っています。
そして何より効いたのが、移動のたびに充電できることでした。キャンプ場に何日もこもりっぱなしではなく、日中は出かけて夕方戻る。その往復で満タンに戻る。「使い切らない」のではなく「毎日戻せる」から持つ、というのが実際のところです。
ソーラーパネルは、まだ実戦投入していません

ポータブル電源と一緒に買った220Wのソーラーパネルは、長期のテント泊には必ず持っていきます。
発電できること自体は確認しています。晴れた日の15時ごろ、適当に立てかけただけの状態で150Wほど。 表示は220Wですから、角度も気にしない置き方でこれなら十分だと思いました。
ただ、キャンプで実際に使ったことは、まだ一度もありません。
理由は単純で、行くと天気が悪いからです。長期で行ったときはどちらも雨に当たっていて、パネルを広げる場面がありませんでした。
ちなみに、その雨のキャンプで別の問題も起きています10年使ったランドロックが「修理不可」でした。自分でシームテープを貼り直した結果
いまのところ完全に予備扱いです。走行充電で足りてしまっているので、なくても困っていません。広げるとかなり大きいので、張る場所も選びます。
これから買う方へ。 セットで買うと割安ですが、車で移動しながらのキャンプなら、まず本体だけでも十分かもしれません。 私の使い方では、走行充電のほうがはるかに出番がありました。
正直、不満もあります
いいところばかり書いてきたので、不満も書いておきます。
とにかく重い。 2,048Whという容量と引き換えです。男性なら頑張れば片手でも持てますが、持ち手のところが壊れないか心配になるくらいの重さです。背負って歩く道具ではなく、車に積んで使う道具だと思ったほうがいいです。
AC出力のコンセントが、裏面にしかありません。 端子が表と裏に分かれているので、使うたびに本体の向きを気にすることになります。全部が一面にまとまっていたほうが使いやすかったと思います。
どちらも買い直したくなるほどの不満ではありません。ただ、知らずに買うと「えっ」となるところです。
同じことをやろうとしている方へ
バッテリー+インバーターは、やり方が悪かったわけではないと思っています。私の接続の作りが甘かった、それだけです。
もしこれから組むなら、私が失敗した点はこうです。
- 12V側に何アンペア流れるかで考える。 100V側が3Aでも、12V側は30A
- ワニ口クリップは、連続して大電流を流す用途には向かない。 短時間なら耐えても、流し続けると接点が焼ける
- 丸端子(圧着端子)をボルトでしっかり締める。 ケーブルの太さだけでなく、その先まで
- 「いままで平気だった」は根拠にならない。 接点の当たりは毎回違う
そして私自身は、その判断を自分で続ける自信がなかったので、ポータブル電源にしました。高い買い物でしたが、端子のことを考えなくてよくなったのは、思っていた以上に大きかったです。
この記事で紹介したもの
この記事に出てきた道具を、まとめておきます。


コメント